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1973年のピンボール

Category : 本・雑誌 小説 .ま行 村上 春樹
1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年9月、この小説はそこから始まる。

僕はピンボールの呪術の世界に入り込んでいた。
3フリッパーの「スペースシップ」。彼女は素晴らしかった。

そして、年が明けた2月。彼女は僕のもとを去っていった。
しかるべき時がきただけだ。

ある晴れた日曜の朝。
目を覚ました時、両脇に双子の女の子がいた。
これもまた、しかるべき時がきただけの話だろう。

配電盤が死にかけているのも、あるいはそうなのかもしれない。

直子が僕の前から消えたこと・・・
これも、おそらくはしょうがないことだったんだろう。

何事にも始まりと終わりがある。
大抵のものに入口と出口があるように。
それは必然であり、誰にもそれを変えることはできない。
そうして、あらゆるものは過ぎ去っていく。

テネシー・ウィリアムズがこう書いている。過去と現在についてはこのとおり。
未来については「おそらく」である、と。
しかし僕たちが歩んできた暗闇を振り返る時、
そこにあるのもやはり不確かな「おそらく」でしかないように思える。
僕たちがはっきりと知覚し得るものは現在という瞬間に過ぎぬわけだが、
それとても僕たちの体をただすり抜けていくだけのことだ。

何かが過ぎ去るのはやはり寂しい。どちら側にいたとしても。
だから、振り返るのはよそう。
長々と話すのもやめよう。

その代わり、たった一言この言葉だけ交わして欲しいんだ。
"またどこかで会おう"と。

+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

初期の青春3部作のうちの第2作です。(ダンス・ダンス・ダンスまで括ると4部作)
本作はデビュー作の「風の歌を聴け」やこの後の「羊をめぐる冒険」に比べるとやや影が薄いです。
でも、決して読み飛ばすことはできない作品です。
第3作の「羊をめぐる冒険」はもちろんのこと、後の作品に繋がってくる部分が各所に見られます。
「ノルウェイの森」の直子、そして「ねじまき鳥クロニクル」の井戸のメタファー等々。
今回も前作の「風の歌を聴け」と同様に"僕"と"鼠"と"ジェイ"が出てきます。
ただ今回は"僕"と"鼠"の2人の接点はなく、並行線のまま話は進んでいきます。
前作に比べると、雰囲気はどことなく前向きで爽やかさが残ります。
これもまたボリュームが全然ないので、あっさり読めてお勧めです。

私的評価 ★★★★☆



「それでも人は変わりつづける。変わることにどんな意味があるのか俺にはずっとわからなかった」
 鼠は唇を噛み、テーブルを眺めながら考え込んだ。
「そしてこう思った。どんな進歩もどんな変化も結局は崩壊の過程にすぎないじゃないかってね。
 違うかい?」
「違わないだろう」
「だから俺はそんな風に嬉々として無に向かおうとする連中にひとかけらの愛情も好意も持てなかっ
 た。・・・この街にもね」
 ジェイは黙っていた。鼠も黙った。彼はテーブルの上のマッチを取り、ゆっくりと軸に火を燃え移らせ
 てから煙草に火を点けた。
「問題は」とジェイが言った。
「あんた自身が変わろうとしていることだ。そうだね?」




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そんな私の日常や趣味をだらだらと書いています。
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