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潜水服は蝶の夢を見るCategory : 映画 洋画 .さ行 潜水服は蝶の夢を見る
![]() 「ここはどこだ?」 「長い眠りから目覚めたんですよ」 ぼやけた視界から映し出される病院の一室。 目覚めたジャン=ドーは"ロック・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)"という状態に陥っていた。 彼は、ある日突然今までいた世界とは全く違う世界に閉じ込められた。 その世界では体が重く、視界が狭く、言葉も通じない。 そう、まるで潜水服を着たように。 E,S,A,R,I,N,T・・・・ このアルファベットの羅列が何なのかわかるだろうか? これが、言語療法士のアンリエットが取ったコミュニケーション方法だ。 使用頻度の高い順に並べられたアルファベットを読み上げ、それにまばたきを返すことで一文字ずつ綴っていく。 まばたきする方も書き留める方も気の遠くなる作業だ。 その方法で彼が最初に綴った言葉は"死にたい" しかし、その言葉が他の誰かに届いたこと。 それこそが、絶望の淵に立つ彼を引き留めた最初のきっかけだったのではないだろうか。 「自分の人生は小さな失敗の連続のように思える」 悲惨な運命のおかげで彼は自分の本質に気づく。 それでも、彼は自分の中にある"人間性"にしがみついた。 そして、自分を憐れむのもやめた。 「左目のほかにも麻痺していないものが二つ」 「想像力と記憶だ。想像力と記憶で僕は"潜水服"から抜け出せる」 想像力と記憶は時間や場所を超えて無限に広がる。夢や憧れを実現し、 なりたかった自分になれる。 気づいたら、潜水服から抜け出し、蝶の夢を見ていた。 「海の底だろうと私はかまわない」 「あなたは私の"蝶"よ」 潜水服の重さは、彼だけでなく周りの人までを深い海の底に引きずり込む。 彼が蝶の夢を見れたのは、その重さを背負ってくれる人が周りにいたからだろう。 羽となってくれる人がいるから、自由に羽ばたき飛ぶことができる。 私たちは今まで一体何回まばたきをしてきたのだろう。 その間に、どれだけ自由に羽ばたき飛ぶことができたのだろう。 そして、何匹の蝶と出会ってきたのだろう。 "たくさんの蝶と出会えますように" 彼が20万回以上のまばたきで伝えたかったこと。 孤独の彼方に漂流した者にしか綴ることのできない魂の記録がここにある。 ![]() ジュリアン・シュナーベル監督の作品です。 いや~素晴らしい映像美の世界を味わいました。 最初はとにかく、霞んで歪んで気持ちが悪いんです。 それも含めて主人公の視点から見える世界がとにかく良かったです。 とても辛く厳しい現実が映し出されているんですが、それでも美しかったです。 以前、記事を書いた「海を飛ぶ夢」にも近いものがあるかもしれません。 観終わった後もどこか前向きに爽やかな気持ちにさせてくれます。 そして、「潜水服は蝶の夢を見る」という邦題も本当に良いです。 とりあえず、今年観た映画でベスト10に入る映画になりそうです。 私的評価 ★★★★★ スポンサーサイト
Tag : ★★★★★映画
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